福岡市東区青葉・土井で予防歯科に取り組む歯医者「青葉イーストコート歯科・こども歯科(ミスターマックス土井店 敷地内)」のブログです。
お子様から、「どうして歯磨きしなくちゃいけないの?」と聞かれて、自信をもって正しく答えることができるお父さん・お母さんはどのくらいいらっしゃるでしょうか。
実際は、小さい頃からの習慣というだけで、明確な目的なく、何となく毎日歯磨きしているだけの方が多いのではないでしょうか。
そこで、歯磨き(ブラッシング)の目的を正しく知ってもらいたいと思い、連載していきたいと思います。
(4)正しい知識でプラークコントロールに取り組みましょう。
これまでの要点
これまで4回に渡って、プラークについてお話ししてきました。
これまでの内容を忘れてしまったと言う方のために、簡単に復習しますね。
- プラークは食べカスではなくて細菌の塊である
- 放置すると歯肉炎や歯周病を引き起こす
- プラークには歯肉炎上プラークと歯肉縁下プラークがある
- バリアで守られているため攻撃できない
- 歯肉炎上プラークはブラッシングで対策可能だが、歯肉縁下プラーク対策には歯科医院でのプロフェッショナルケアが必要である
プラーク自体を作らせないことは困難
私たちのお口の中にはたくさんの細菌が生息しています。
私たちにとって良い働きをする菌(善玉菌)もいれば、害となる菌(悪玉菌)もいます。
残念ながら、お口の中の細菌をゼロにすることはできません。
プラークの発生を防ぐことはできないということを私たちは受け入れなければなりません。
プラークができたら除去すれば良い
プラークはバリアで守られているため、免疫担当細胞が攻撃することができません。しかし、プラークをそのままにしておくと、歯肉炎や歯周病になってしまいます。
・・・では、どうすれば良いのでしょう?
もうお分かりですね?
そうです。歯磨き(ブラッシング)すれば良いのです!
ブラッシングの効果を調べた研究
ここで、ブラッッシングの効果について、有名な研究をご紹介します。
デンマーク王立歯科大学のProf.Loeらの研究で、2週間、学生に歯を磨かないよう指示し、その間に歯肉がどう変化するのかを調べました。その結果、1週間も経たないうちに歯肉炎になり、その後、ブラッシングを再開するとすぐに変化して、たちまち歯肉炎が治ったと言う結果となりました。
興味深いことに、その際に、発生したプラークの中にいた細菌についても調べられたのですが、プラークが放置された日数が進むにつれて病原性の高い菌(病気を引き起こす細菌)が現れ、そして、その比率が高まっていくという結果が出ました。
先祖代々伝わる健康習慣
人類が歯磨き(ブラッシング)をするようになったのは細菌のことではありません。
諸説ありますが、私が知る範囲では、約6300年前のネアンデルタール人の時代から歯磨きをしていたのではないかと言われています。
先祖代々、脈々と伝わってきた歯磨き(ブラッシング)ですが、かつては、現代ほど歯磨き(ブラッシング)の目的・効果は明確ではなかったかもしれません。
歯磨き(ブラッシング)の目的・効果が科学的に判明した現代に生きる私たちは、ご先祖様からの贈り物だと思い、歯磨き(ブラッシング)習慣に取り組まなければなりません。
プラークコントロールこそ、最大の予防!
歯肉の健康予防は、「プラークコントロール」が最も重要です。
歯肉縁上プラークは、日々のセルフケアで除去しましょう。
歯肉縁下プラークは、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアで除去しましょう。
みなさんと歯科医院が協力してこそ、効果的なプラークコントロールが可能となることを覚えておいてくださいね。
終わりに
ここまで読んでいただいた方は、十分に歯磨き(ブラッシング)の重要性を理解していただけたと思います。
お子様から「どうして歯磨きしなくちゃいけないの?」と聞かれても、自信を持って伝えてあげることができますね。
私たちが患者さまに常々お話しすることですが、「磨いた」と「磨けた」は違います。
今更とお思いになるかもしれませんが、かかりつけの歯科医院で今一度、歯磨き(ブラッシング)の効率の良い方法を学んでみてはいかがでしょうか?
当院では、病気を未然に防いでこそ歯科医療の価値があると考えています。
そのためには、みなさんがご自分の健康を守りたいという気持ちが不可欠です。
当院では、その気持ちに最大限に応えたいと思い、日々取り組んでいます。
お口の調子が悪くない今だからこそ、お口の健康を「守る」ために、歯科医院にいらしてくださいね。
バックナンバー
【連載】歯磨き(ブラッシング)の目的を正しく理解していますか?
(1)まずは、「プラーク」について正しく知りましょう。(2)プラークを放置するとどうなるかを知りましょう。
(3)プラークには2種類あることを知りましょう。
(4)正しい知識でプラークコントロールに取り組みましょう